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もみじとかえで | 赤犬赤猫
DAY4 36位からのスタート
2026年8月4日。
ゆるバース挑戦、4日目。
朝。
かえでは、スマートフォンの画面をじーっと見つめていた。
一度、画面を閉じる。
もう一度、開く。
また閉じる。
そして、もう一度見る。
🐱「……さっきから何してるにゃ?」
🐶「順位が出てる」
🐱「順位?」
🐶「うん。最初の順位」
もみじも、かえでの横から画面をのぞき込んだ。
そこに書かれていた数字は――
36位。
🐶「36位だって!」
🐱「おお……!」
かえではしばらく画面を見つめたあと、
突然、両手を大きく広げた。
🐶「36人しかいないってこと!?」
🐱「違うにゃ」
🐶「じゃあ、36票?」
🐱「それも違うにゃ」
🐶「……順位って難しい」
🐱「そこから説明しないといけないのかにゃ」
全国から、たくさんのキャラクターが参加するゆるバース。
その中で、
もみじとかえでの最初の順位は36位だった。
1位ではない。
トップ10でもない。
でも二匹は、少し不思議な気持ちになった。
ほんの数日前まで、
誰が自分たちを知っているのかも分からなかった。
誰かが投票してくれるのかも分からなかった。
それなのに今、
「36位」という数字がある。
その数字をつくったのは、
画面の向こうにいる一人ひとりだった。
🐶「これって……みんなが投票してくれたから、ここにいるってことだよね?」
🐱「そうにゃ」
🐶「知らないところで、ぼくたちの名前を選んでくれた人がいるんだ」
🐱「いるにゃ」
🐶「なんか……すごいね」
今度のかえでは、少し静かだった。
順位を見る前は、
もっと上に行きたい。
できれば1位になりたい。
そんなことばかり考えていた。
もちろん、その気持ちは今も変わらない。
けれど、
「36位」という数字の向こう側を想像すると、
単なる順位には見えなくなった。
一票。
また一票。
その一つひとつに、
誰かの数分間がある。
「頑張ってね」という気持ちがある。
「今日も押しておこう」という習慣がある。
🐶「もみじ」
🐱「なんにゃ?」
🐶「36位って、もっと悔しいと思ってた」
🐱「悔しくないの?」
🐶「悔しい!」
🐱「どっちにゃ」
🐶「でも、それより嬉しい!」
かえでは、にこっと笑った。
🐶「だって、ぼくたちだけじゃ絶対に36位にはなれないもん」
もみじは少しだけ目を細めた。
🐱「そうにゃ。ゆるバースは、ぼくたち二匹だけの挑戦じゃないにゃ」
投票してくれる人。
SNSで紹介してくれる人。
友達に伝えてくれる人。
投稿を見てくれる人。
保護犬や保護猫のことを、
初めて知ってくれた人。
少しずつ、
二匹の挑戦に参加する仲間が増えていた。
だから今日の二匹には、
どうしても伝えたい言葉があった。
🐶「みんなー!」
🐱「ちょっと声大きいにゃ」
🐶「最初の順位、36位でした!」
🐱「応援してくれたみんな、本当にありがとうにゃ」
🐶「一票一票、ちゃんと届いてるよ!」
🐱「そして、ここからが本番にゃ」
かえでの耳がぴんっと立った。
🐶「やっぱり1位目指す?」
🐱「もちろんにゃ」
🐶「よーし!」
再び元気いっぱいに走り出そうとするかえでを、
もみじが呼び止める。
🐱「でも、順位だけ見て走るのは禁止にゃ」
🐶「え?」
🐱「ぼくたちが何のために挑戦してるか、忘れたらダメにゃ」
かえでは立ち止まった。
保護犬や保護猫のことを、
もっとたくさんの人に知ってもらう。
「かわいそう」で終わるのではなく、
知ることや応援することを、
もっと身近に、もっと楽しくしていく。
そのために、
二匹はゆるバースという大きな舞台に立っている。
🐶「順位が上がったら、そのぶん見てくれる人も増えるかな?」
🐱「きっと増えるにゃ」
🐶「じゃあ、やっぱり上を目指そう!」
🐱「そういうことにゃ」
順位を目指すこと。
活動を伝えること。
どちらか一つではない。
より高い場所に行けば、
より多くの人に届けられる。
そのための順位なら、
二匹は思いきり追いかけてみようと思った。
🐶「36位は、ゴールじゃないね」
🐱「スタート地点にゃ」
🐶「じゃあ明日は35位!」
🐱「一気に1位って言わないところだけ妙に現実的にゃ」
🐶「一歩ずつ!」
🐱「それが大事にゃ」
――DAY4。
初めて届いた順位は、36位。
それは、
まだまだこれからという数字であり、
ここまで連れてきてくれた人たちの応援が形になった数字でもあった。
一票の向こうには、一人がいる。
36位の向こうには、
たくさんの「応援してる」がある。
もみじとかえでは、
そのことを忘れないように、
もう一度、しっかりと前を向いた。
夏は、まだ始まったばかり。
ここから、
どこまで行けるのか。
それは、
二匹にもまだ分からない。
でも今日だけは、
胸を張って言おう。
🐶「応援してくれて、本当にありがとう!」
🐱「36位から、もっともっと上を目指すにゃ!」
二匹の挑戦は、
たくさんの応援を背負って、
少しずつ大きな物語になり始めていた。