「雪丸」モデル 文化財に


【王寺町文化財となった「石造雪丸像」。後方に立つのが像をモチーフに生まれたゆるキャラ「雪丸」(王寺町の達磨寺で)】


 ◇王寺町教委 達磨寺の3点
 ◇江戸後期 観光ガイドに登場

 王寺町教委は、町公認の人気ゆるキャラ「雪丸(ゆきまる)」のモデルになった「石造雪丸像」など達磨寺(だるまじ)所蔵の3点を、町文化財に指定した。聖徳太子の愛犬で人の言葉を話し、経を唱えたとの伝説があり、町民らは「新たな観光名所になる」と喜ぶ。

 雪丸像は高さ50センチ、幅34センチ、奥行き57センチの花こう岩製で、丸みのある形が特徴。作者や建立時期は不明だが、江戸時代後期の観光ガイド「大和名所図会(ずえ)」(1791年出版)の達磨寺の挿絵には「こまつか」(狛塚)の添え書きとともに描かれ、この頃にはすでにあったらしい。


【雪丸像が描かれている「大和名所図会」。本堂(中央)の北東の位置に「こまつか」(上)と書かれている】

 寺の記録「達磨寺略記」には、雪丸が「私を達磨大師のお墓の丑寅(北東)に葬ってください」と遺言したとあり、名所図会では境内の北東方向に描かれる(現在は南西に移設)。「雪丸像が元旦に鳴くと豊作になる」といった伝承も評価された。

 ゆるキャラの雪丸は町商工会が2011年に考案し、13年には町公認となった。着ぐるみも作られ、町観光・広報大使として活動。つぶらな瞳や愛らしさで人気を博し、14年の「ゆるキャラグランプリ」では県勢トップの11位に入った。

 考案の当初から関わった町商工会事務局長の岡本浩至さん(52)は「キャラのモデルが文化財になったのはうれしい。雪丸像を見たいと、王寺に来る観光客が増えれば」と喜んでいる。

 ほかに指定された2点は、1692年(元禄5年)に作られた屋根飾り「達磨寺旧本堂瓦製露盤(がせいろばん)」と、聖徳太子の伝記を写した鎌倉時代の巻物「聖徳太子御絵指示(おんえしじ)」。ともに公開は修復後の予定。

2016年5月14日(YOMIURI ONLINE)



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