浜松開催決定、家康くん出陣 ゆるキャラGP


【開催地の渚園をアピールする家康くん(14日、東京都千代田区で)】



 全国のご当地キャラクターや企業キャラクターの中で「天下一」の人気者を決める「ゆるキャラ®グランプリ(GP)2015」が、浜松市で11月に開催されることになった。地元開催を受け、市のマスコットキャラクター「出世大名家康くん」も、満を持して2年ぶりの“出陣”を表明。徳川家康没後400年を迎え、様々な行事が予定される本県に、盛り上がれる大イベントが、また増えた。

 浜松開催は14日、GP実行委員会が都内で記者会見を開いて明らかにした。

 GPの開催地は前回の14年から、実行委が公募に応じた自治体から選んでいる。今回は、全国の約60自治体から問い合わせが寄せられるほど、関心が高かった。

 そんな中で、浜松市も「家康公四百年祭」との相乗効果が期待できるとし、昨年から誘致に乗り出していた。浜松市を選んだ理由を、実行委の西秀一郎会長は「駅から徒歩で会場にアクセスできる。具体的な(開催の)計画があり、行政も熱心だった」と述べた。

 今回は、家康が浜松から天下統一への道を歩んだことなどをふまえて「in 出世の街 浜松」の副題がつき、日程は11月21~23日の3日間。会場は浜名湖に面するアウトドア施設「渚園」(浜松市西区)のキャンプ場を予定している。

 会場では、参加するゆるキャラたちがブースを構えて選挙運動を展開し、来場者による「決戦投票」が行われる。地元料理の屋台も並ぶ盛大な祭典となる。

 浜松開催に先立ち、GPではインターネット投票が8月17日から3か月間にわたって行われ、優勝キャラは浜松での決選投票と合わせた票数で決まる。

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 記者会見には浜松市の鈴木康友市長と「福市長」の肩書を持つ家康くんも出席。家康くんは「頑張ることになりそうじゃ」と、その場でGP参加を表明した。

 家康くんには、13年のGPで天下を取り損ねた過去がある。一時は2位に約10万票差をつけてトップを独走していたのに、終盤の大逆転負けで準優勝止まり。当時は、1か月間ほど頭のちょんまげを切り落として「出家大名」になったほどのショックを受けた。前回14年のGPも「優勝できる確信が持てた時点で参加する」(鈴木市長)として参加を見送っていた。

 地元開催の今回は、まさに雪辱の絶好機となりそう。家康くんは「ホームで戦うからには絶対に負けられない戦いになる。頑張るのじゃ~」と高らかに天下取りを宣言。市関係者も「天下分け目の大合戦だ」と意気込んでいる。

■優勝なら巨額の経済効果

 ゆるキャラ®グランプリ(GP)では、各自治体はゆるくない、壮絶な選挙戦を展開して優勝を目指す。優勝すると地元の知名度向上とともに、大きな経済効果が見込まれるためだ。

 例えば2011年のGPで優勝した、くまモン(熊本県)。日本銀行熊本支店の試算では、優勝後の2年間で、商品販売や観光客増加などによる経済効果が1244億円に上った。

 ぐんまちゃん(群馬県)も14年11月のGP優勝後、県内外の企業から商品へのデザイン使用についての問い合わせが急増。県によると、優勝した11月の1か月間で、テレビ出演などによる広告効果が約2億円に上った。ぐんまイメージアップ推進室は「優勝直後は、問い合わせの電話が鳴りやまなかった」と振り返る。

 ぐんまちゃんの優勝は、周到な選挙準備の成果だったという。13年は200枚しか作らなかった投票を呼びかけるポスターを、14年は1万7000枚も用意した。チラシも44万枚。応援隊には、約480の企業や団体が登録して投票の呼びかけを手伝い、その過程で地元は結束を深めた。

 開催地も大いににぎわう。前回の愛知県では、決戦投票に備えて、県内へ先乗りして百貨店や大学の学園祭などでPRに励む他県キャラもいた。GP会場だった中部国際空港には、3日間で約7万人が来場した。


2015年1月15日(YOMIURI ONLINE)