ご当地ちゃんぽんPR、15市町で協議会結成


【八幡浜のちゃんぽんをPRするキャラクター「はまぽん」】


 長崎生まれの味に各地の工夫を凝らした「ご当地ちゃんぽん」で地域おこしをと、兵庫県尼崎市など11道県15市町の店舗などが全国協議会を結成、PRを進めている。あんかけやカレー味など10種類以上。夏向けの「冷やし」もある。関係者は「B級グルメブームが続く中、旋風を巻き起こしたい」と意気盛んだ。


【CM全国ちゃんぽん】


■食べ歩きラリーも

 尼崎市では、とろみのあるあんかけが定番。ちゃんぽんが根付いたのは戦後のこと。高度経済成長の時代、九州から集団就職できた人たちにと出す店が増えた。冷めにくく満腹感を得られる、とあんかけが主流に。現在も市内で20店以上がメニューに掲げる。

 2012年、同市で食べ歩きのスタンプラリーを開催。地元出身の女性デュオも「チャンポン娘」を務めてPRする。中華料理店を営む赤星典秀さん(57)は「労働者を支えた味で元気になれる」とアピールする。

 同市杭瀬本町の食堂「お食事処 駒川」は、冷やしたあんをかけたちゃんぽんを考案。26日午後、近くの杭瀬栄町EAST商店街で試験販売する。

 愛媛県八幡浜市はイリコだしが利いたあっさり仕立て。市は10年に「ちゃんぽん担当係長」を新設し、ゆるキャラ「はまぽん」も作った。栃木県高根沢町は特産のトマトを使うちゃんぽんを発表。家庭でカレールーの年間購入額が全国一、二という鳥取市では昨年、カレー味が誕生した。

■全国展開へ

 本場・長崎市から東へ約30キロの長崎県雲仙市が、ご当地ちゃんぽんの「走り」となった。大正時代に生まれ、魚介を使う「小浜(おばま)ちゃんぽん」が名物。湯治客らが全国へと広めた歴史もある。

 07年に店の地図を作製。地元企業と麺、スープのセットを開発し、月5000個を売り上げるヒット商品に。当時、市観光課で売り出しの先頭に立った島原半島観光連盟事務局次長の林田真明さん(45)は「本場とひと味違い、麺好きの心をつかめると考えた」と話す。

 林田さんは各市町に呼びかけ、12年に「全国ご当地ちゃんぽん連絡協議会」を結成し、会長に就任。これまでイベントが北九州市などで開かれ、今年11月には鳥取市で開催される。

 昨年12月、滋賀県彦根市の外食会社「ドリームフーズ」は、千葉市の商業施設に、月替わりで全国の味を出す「ご当地ちゃんぽん研究所」を開き、1か月で約1万6000人が来店。カツオと昆布だしの「近江ちゃんぽん」も売り出し中だ。

 新横浜ラーメン博物館(横浜市)の岩岡洋志館長は「ご当地ラーメンに着目した時はここまで定着すると誰も思わなかった。ちゃんぽんも長崎のイメージが定着しているだけに、かえってご当地の味を新鮮に感じてもらえるのでは。味はもちろん、興味をそそる歴史などで独自性を出して」とエールを送る。

■本場・長崎 明治期に誕生

 ちゃんぽんは1899年(明治32年)、長崎市で開業した中華料理店「四海樓(しかいろう)」で誕生。創業者・陳平順(1873~1939)が、食べ盛りの若い中国人留学生を満腹にさせたいと、故郷の中国・福建省の麺料理を基に考案した。

 野菜や肉などをいためた後、豚骨と鶏ガラの白濁スープで煮込み、麺にかけるのが本場の味。「安くて栄養価が高い」と当初から評判になった。明治末には長崎市内の十数店がメニューに載せ、大正時代の観光案内に「長崎名物」として登場する。その後、全国へと広まった。


2014年7月26日(YOMIURI ONLINE)